今回は数年前に私が経験したお客さまとの出来事について書いていきたいと思います。新築アパートをご購入して頂いたお客様から久しぶりにご連絡を頂き、アパートのご売却のご相談を頂きました。長くお付き合い頂いたお客様でしたが、これが最期のお客様のご依頼となってしまいました。今回は、自分に出来ることは何かを改めて考えさせるできごとになりました。
病床から不動産売却のご依頼
数年前に当社から新築アパートをご購入して頂いたお客様からご連絡があり、体調不良で入院することを告げられました。お客様には、ご家族がお姉様しか居ませんでした。私は、すぐに病院へお見舞いに行き、お客様とは社会復帰を約束して帰って来たのですが叶わぬことになってしまいました。
お客様が一時退院後に私を呼ばれお姉様とお客様、3人で色々とお話しをしたところ、毎月高額な治療費をお支払いされていたようでした。しかしお客さまはアパートだけは売却したくないと私に話されていました。元公務員のお客様はまじめで、ご家族がいなかったせいか、いつもお姉様を一番に気遣っていました。お姉様は弟の病気の心配とお母さまの介護と会社経営をされていて、フラフラな状態が続いているようでした。
ある日、お姉様が私に「弟はあなたと会話をしていると元気になり、笑顔が多い」と話してくださいました。それを聞いて私も嬉しくなり、ちょこちょこお客様のご自宅へ顔を出し、笑顔で会話するお客様と会うことを楽しみにしておりました。
そんな状況が約半年間続いていたのですが、、ある時、私の携帯電話にお客様から、突然の連絡が入りました。お電話の内容は意外にもアパートを売却したいという事でした。そして、私の仕事の都合が良い時にご自宅へ来てほしいとのご依頼でした。
お姉様のご自宅で、お客様とお姉様と私の3人でアパートの売却話が始まりました。お客様がいつもの調子でお話を始め、「アパートを売ることにしました。借り入れ残金が有りますが、売却に関してはあなたに全てお任せします。」と話されました。更にはお姉さまの前で「実印もあなたに預ける」と話され今までにない責任の重さを感じてしまいました。
お預かりした物件資料などを全てを持ち、お客様からのご信頼に感謝の気持ちを抱き、帰社しました。お客様の為に出来ることは何か・・その2日後です。
お姉様から私の携帯にご連絡が有り、弟が亡くなったとお話をされて、私は言葉を失いました。お客様は数日前に元気な姿で私と話をされ、資料も預かったのに、、あまりに急な出来事で驚きました。しかし、売りたくないアパートを売却する決断をした背景には、ご自身ではお体の状況を判っていたのかもしれません。お姉様からは、慌てた様子で今後の相談がありました。
お客様の葬儀が無事終わり、私は、自分が出来ることを考えました。相続人は介護を受けているお客様のお母様になりますが、判断能力が無い状態で、私は後見人が必要と判断して、適任者をさがしました。そして、私は司法書士を紹介するご提案をお姉様にさせて頂きました。司法書士と面談後、依頼をしてお客様の遺品整理をしたところ、急変をして亡くなるときの準備もされていたようで、お姉様に対する遺言書が発見されました。
遺言書を裁判所へ提出して、アパートは無事にお姉様の名義に変更となりそうです。お客様が一番大切にしていたお姉様へ、無事に資産の移動をすることができました。亡くなられたお客様から託された目的を達成できた安堵感に満たされました。
まとめ
不動産売買は高額商品のため、お客さまとの信頼関係も非常に深くなることがあります。ご自身の死後の手配を引き受けてしまう状況になることは、珍しいことだと思いますが、当社の場合には似たケースは多くあります。共通する印象を無欲になることで何かに気づかれる印象を受けます。みなさまも信頼のできる不動産売買のパートナー選びを意識して、不動産売買を成功させてください。
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