ある駅前の商業地に建つ店舗ビルオーナーとテナントで起きた出来事です。すでに緊急事態宣言は解除されましたが、飲食店の経営は非常に厳しい状況が続いていました。あるビルのオーナーに降りかかった問題です。築浅のビルに入居する店舗のオーナーたちが、全員で話し合い、すべてのテナントが合同で、一律50%の家賃減額をオーナーに要求してきました。私は今回の話を同業者の社長から聞いた時には、驚きを隠せませんでした。団体交渉などはじめてのできごとです。
店舗経営者の行き詰まりとオーナーへの要望
私も店舗や事務所の家賃の値下げ交渉が相談されるケースは知っていましたが、すべてのテナントが団体交渉の形で、賃料の値下げをオーナーに交渉するケースは、はじめて聞きました。テナントさんの気持ちも理解できますが、この交渉方法ではオーナーは、逆に値下げを考える余裕をなくしてしまい、感情的になり値下げには一切応じない可能性が出てきます。
今回のケースは、建物の築年数も新しく、オーナーのローンの残債もかなり残っている状況です。オーナーは、親子で店舗ビルを運営していたのですが、家賃交渉に応じることを考えていない親御さんと、少しは考えても良いのではないかと考えた息子さんの間で、意見が分かれ、最終的には今回の件で、険悪な親子関係の状態になってしまいました。今後は、息子さんが不動産運営に携わることは、無くなってしまったようです。
家賃値下げ交渉のオーナー対応
テナントから家賃交渉をされたときには、どうすれば良いでしょうか。テナントの希望している家賃の減額幅や希望する期間を確認してみてください。それから現在政府が検討している、特別家賃支援給付金制度をテナントに知らせることをおすすめします。ひとつの店舗を経営する場合、家賃の3分の2までの範囲で、月額の上限は、中小企業が50万円、個人事業主が25万円が限度です。6か月分支給されるので、中小企業の上限は300万円、個人事業主の上限は150万円で検討されています。
5月30日時点では、政府に提案された段階ですが、内閣で閣議決定後に国会に提出されます。まだ、給付金の細かな内容は決定しておりませんが、業種をなるべく限定しない方向で検討されています。家賃値引き幅をこの給付金の範囲に交渉することで、オーナーの実損を回避できる可能性が高まります。まずは、この法案が決定したあとに家賃交渉の回答を決めるのが、オーナーとテナントにとって良いのではないでしょうか。
まとめ
今回の緊急事態宣言で社会は、大混乱の状況になりました。特に店舗を借りている方にとっては、内装に多額の先行投資をしている方も多いので、死活問題の方も多いと思います。また、オーナーも多額の借り入れを不動産に投資しているケースも多いので、家賃の値下げが死活問題になってしまいます。特別家賃給付金制度などが早く利用できる状態になり、素早く活用することで直面する課題を解決したいものです。
ブログ記事の解説
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